今回のニュース内容は「GoogleのAI搭載のノート作成アプリである「NotebookLM」が、Chromebookにプリインストールされるようになるという報道がされています。これはChromebookの生産性を大幅に向上させる強力な新しいAIツールとして期待されています。」
出典:「Chromebook に NotebookLM ウェブアプリのプリインストールが展開」
今年 3 月に、Google が Chromebook に NotebookLM ウェブアプリをプリインストールする計画を進めていることが報告されていました。そして 2025 年 6 月 17 日時点で、この変更が実際に展開され、一部ユーザーの Chromebook のシェルフに NotebookLM のウェブアプリがデフォルトで表示されるようになりました。
おそらく ChromeOS 137.0.7151.86 のアップデートで導入されたものと思われます。
ニュースサイトで見る:https://helentech.jp/news-68108/
「ChromebookにNotebookLMがプリインストールされる」というニュースについて、さらに詳しく掘り下げて解説します。
この動きは、単に新しいアプリが追加されるというだけでなく、GoogleのAI戦略とChromebookの今後の方向性を示す重要なものと言えます。
1. NotebookLMとは?- ただのAIチャットではない「ソースベースAI」
まず、NotebookLMがどのようなツールかを理解することが重要です。
- あなたの資料が「専門家」になるAI: NotebookLMは、一般的なAIチャット(例: Geminiの通常版など)とは一線を画します。最大の特徴は、ユーザーが指定した情報源(ソース)のみに基づいて、AIが応答や作業を行う点にあります。
- ソースとして使えるもの: Googleドキュメント、PDF、テキストファイル、Googleスライド、ウェブサイトのURLなどをソースとしてアップロードできます。
- 具体的な機能:
- 要約: 長文の資料や複数の文書を瞬時に要約します。
- 質疑応答: アップロードした資料の内容について、人間と対話するように質問できます。「〇〇について説明して」「AとBの違いを教えて」といった指示が可能です。
- アイデアの創出: 資料に基づいて、新しいアイデアの提案、文章の構成案作成、FAQの生成などを行います。
- 引用元の表示: AIが生成した回答の横に、根拠となったソースの箇所を常に表示します。これにより、情報の正確性を簡単に確認でき、いわゆる「AIの嘘(ハルシネーション)」のリスクを大幅に低減します。
一言で言うと、インターネット全体から情報を探すのではなく、「あなたが与えた資料だけを完璧に理解した超優秀なアシスタント」を、手軽に呼び出せるツールです。
2. なぜChromebookにプリインストールされるのか?
GoogleがNotebookLMをChromebookに標準搭載する背景には、いくつかの戦略的な狙いがあります。
- Chromebookの付加価値向上: これまで「安価でシンプル、セキュア」という点が主な魅力だったChromebookに、「高度なAIによる生産性向上」という強力な付加価値を与えます。これにより、学生や研究者、ライター、ビジネスパーソンなど、より専門的な作業を行うユーザー層へのアピールを強化する狙いです。
- AI体験のハードルを下げる: プリインストールすることで、ユーザーは特別な設定なしに、すぐに最新のAI機能を試すことができます。これにより、GoogleのAIエコシステムへの参加を促し、ユーザーのAI利用を日常的なものにしようとしています。
- 競合への対抗: MicrosoftがWindowsに「Copilot」を統合し、Appleも独自のAI「Apple Intelligence」をOSに深く組み込むことを発表しています。Googleも同様に、自社のOSであるChromeOSにAIをネイティブに統合することで、競争力を維持・強化しようとしています。
3. ユーザーにとっての具体的なメリット
この変更により、Chromebookユーザーは以下のようなメリットを享受できます。
- 学習効率の劇的な向上:
- 学生: 講義ノートや教科書のPDFをアップロードし、テスト範囲の要点まとめや、理解できなかった部分の質問などを瞬時に行えます。
- 業務効率の改善:
- ビジネスパーソン: 会議の議事録、複数の企画書、競合の調査レポートなどを読み込ませ、要約の作成、次のアクションプランの提案、プレゼン資料の骨子作成などを任せることができます。
- 情報整理と執筆活動のサポート:
- 研究者・ライター: 膨大な参考文献やインタビューの記録をソースとして、論文の構成案を練ったり、記事のドラフトを作成したりする作業が効率化されます。
4. いつから、どのモデルで?- 展開の詳細
現時点で判明している展開の詳細は以下の通りです。
- 対象モデル: まずは**「Chromebook Plus」**シリーズの新規モデルから展開が始まるとされています。Chromebook Plusは、通常のChromebookよりも高性能なモデルシリーズです。
- 時期: 具体的な日付は明言されていませんが、「今後数週間以内に」と報道されており、比較的速やかに展開される見込みです。
- 既存モデルへの展開: 既存のChromebook(特にChromebook Plus)にもアップデートで提供される可能性は高いですが、公式にはまだ詳細な発表はありません。
まとめ:Chromebookが「AIファースト」のデバイスへ
今回のNotebookLMのプリインストールは、Chromebookが単なるクラウドベースのシンプルなOSから、AIを核とした生産性向上ツールへと進化する象徴的な出来事です。これまで以上に、Chromebookは教育現場やビジネスシーンで強力な選択肢となる可能性があります。
特に、情報の正確性が求められる場面で、引用元を明示してくれるNotebookLMの機能は、他のAIツールにはない大きな安心材料であり、Chromebookの価値を大きく高めるものと期待されています。