今日のニュース内容は「GoogleのAI「Gemini」のAndroidアプリ版とブラウザ版が、ついに動画のアップロードに対応しました。これにより、ユーザーは自分の動画ファイルを直接Geminiにアップロードし、AIにその内容を分析させたり、動画に関する質問をしたりすることができるようになりました。」
出典:「GoogleのAI「Gemini」のAndroidアプリとブラウザ版がついに動画のアップロードに対応」
「Gemini」に動画ファイルを直接アップロードできるようになりました。無料版ユーザーでも利用可能で、AIに動画を分析してもらうなどの使い方ができます。
動画をアップロードするには、Geminiのアプリ、あるいはブラウザ版を開き、+アイコンを選択します。今回はAndroidアプリ版Gemini(バージョン1.0.772404132)を使いました。利用したモデルはGemini 2.5 Flashです。ニュースサイトで見る:https://gigazine.net/news/20250619-google-gemini-movie-file-upload/
「Gemini」のAndroidアプリとブラウザ版での動画アップロード機能について、さらに詳しく掘り下げてみましょう。
1. 動画アップロード機能の概要
- 対応モデル: 主に「Gemini 2.5 Flash」や「Gemini 2.5 Pro」といった比較的新しいモデルで利用できます。これらのモデルは、マルチモーダル(多様な形式のデータを処理できる)能力に優れています。
- ファイル形式: MP4やWAVなど、一般的な動画ファイル形式に対応していると考えられます。
- 動画の長さ制限: 現時点では、最大5分までの動画ファイルを直接アップロードできると報じられています。これは、より長時間の動画を処理するためのリソースや処理時間の考慮があるためでしょう。
- アップロード方法:
- Geminiアプリまたはブラウザ版を開き、テキストボックスの下にある「ファイルを追加」アイコン(または「+」アイコン)をタップ/クリックします。
- デバイスのローカルストレージやGoogleドライブからファイルを選択してアップロードします。
- 今後の展望: 将来的には、アプリ内で直接動画を撮影してアップロードする機能も追加される可能性が示唆されています。
2. Geminiによる動画分析の仕組みとメリット
この機能の核心は、Geminiが動画の内容を「理解」し、それに基づいて様々な処理を行える点にあります。
- マルチモーダル処理: Geminiは、動画の映像と音声の両方から情報を抽出・分析します。これにより、単なる音声の文字起こしや画像の認識に留まらない、より深い理解が可能になります。
- 映像情報の活用:
- 話者の特定: 映像(口の動き、姿、テロップ)と音声から誰が話しているかを判断し、複数人が参加する対談や会議の議事録作成に役立ちます。
- 状況・行動の把握: ストーリー性のある動画などで、登場人物が何をしているか、どのような状況かを理解し、セリフだけでは分からない文脈を捉えます。
- 視覚情報の抽出: チュートリアル動画や講義動画などで、画面に表示される図、グラフ、コード、スライドの内容を認識し、抽出します。これにより、学習や情報収集の効率が格段に向上します。
- オブジェクト特定検索: 動画内の特定の項目(例:製品デモンストレーションにおける特定の機能)を見つけて説明できます。
- 音声情報の活用:
- 高精度な話者分離: 声質の違いを捉え、誰の発言かを明確にします。
- 文字起こし: 音声をテキストに変換し、タイムスタンプを付加することも可能です。
- 映像情報の活用:
- 推論能力: Geminiは、動画の情報を基に推論を行うことができます。例えば、動画内で特定の行動が何回行われたかをカウントしたり、動画の内容に基づいてアニメーションを生成したりする例が示されています。
3. 具体的な活用例
- 動画要約の自動生成: 長時間の動画(会議、講義、ドキュメンタリーなど)の主要なポイントや内容を要約し、短時間で把握できるようにします。
- 議事録作成: 会議やインタビュー動画から、話者ごとの発言を正確に文字起こしし、要約や議論の流れをまとめることができます。
- 操作マニュアルの自動作成: PC操作やアナログ作業の動画をアップロードすることで、その手順を自動的に文字起こししてマニュアル化できます。
- 学習コンテンツの効率化: 講義動画やチュートリアル動画から、重要な概念、図、コードなどを抽出し、学習の効率を高めます。
- コンテンツ制作の支援: 動画の内容に基づいた解説記事の作成、Q&A形式への再編集、さらには動画から新しいアニメーションを生成するといったクリエイティブな用途にも応用可能です。
4. 技術的な側面
Gemini APIのドキュメントによると、動画処理においては以下の要素が関わっています。
- サンプリングレート: 動画は通常1秒あたり1フレーム(FPS)でサンプリングされ、音声は1 Kbps(単一チャネル)で処理されます。
- トークン計算: 動画の1秒間は、フレーム(画像)とオーディオ、メタデータがそれぞれトークンとして計算されます。メディア解像度によって、フレームあたりのトークン数は異なります(低解像度で66トークン、高解像度で258トークンなど)。
- コンテキストウィンドウ: 使用するGeminiモデルのコンテキストウィンドウ(一度に処理できる情報量)によって、処理できる動画の最大長が変わります。例えば、200万個のコンテキストウィンドウを持つモデルでは、デフォルトのメディア解像度で最大2時間、低い解像度で最大6時間の動画処理が可能とされています。
5. アップロードできない場合の対処法
もし動画のアップロードがうまくいかない場合、以下の点を確認すると良いでしょう。
- 対応ファイル形式か: 一般的な動画形式(MP4など)であることを確認する。
- ファイルサイズ/長さの制限: 現状の5分という制限を超えていないか確認する。
- ネットワーク接続: 安定したネットワーク環境にあるか確認する。
- ブラウザ/アプリのキャッシュ: ブラウザのキャッシュクリアや、アプリの再起動を試す。
- Geminiのバージョン: 最新のバージョンにアップデートされているか確認する。
- コーデック: ビデオコーデックがH.264など一般的なものになっているか確認する。場合によっては動画変換ツールで形式を調整する必要があるかもしれません。
- 安全性設定: Google AI Studioなど特定の環境では、安全性設定によってコンテンツがブロックされる場合があります。
この動画アップロード機能は、Geminiがより現実世界の複雑な情報を理解し、ユーザーの多様なニーズに応えるための重要な一歩と言えます。今後、さらなる機能拡張や利便性の向上が期待されます。