AI絵師投稿に怒り、神社を脅迫 容疑者逮捕

今日のニュース内容は「2024年5月、静岡県熱海市の「来宮神社」に対して、AIで作成されたイラストを投稿したことを擁護する姿勢を示したことに対し、脅迫メールを送ったとして、千葉県市川市に住む20代の男性が逮捕」

出典:「“AI絵師”擁護に腹立った」AIイラスト投稿の神社に「殺してやる」メールなど脅迫疑い男で男を逮捕 元検事が指摘「悪質で罰金刑で済ますような事案ではない」

多くの芸能人が参拝することで知られる京都の神社への脅迫か。

「叩き殺してやる」などと書かれたメールを送った疑いで38歳の男が逮捕された。

ニュースサイト:https://www.fnn.jp/articles/-/897286?display=full

この事件を少し深掘りしてみましょう。

事件の経緯と逮捕容疑

来宮神社は、以前からホームページやSNSでイラストを活用しており、その一部にAIが生成したとみられるイラストを使用したことがありました。これに対し、一部から批判的な意見が寄せられる中、神社側は「AI絵師」という言葉を使い、AI技術の活用に理解を示すような投稿をしました。これが、男性の逆鱗に触れたとされています。

逮捕された男性は、神社のこの姿勢に対し、「AI絵師を擁護するのか」といった内容を含む脅迫メールを複数回送付した疑いが持たれています。メールには「殺してやる」といった直接的な殺害予告も含まれており、神社側は警察に相談し、捜査の結果、男性が特定され逮捕に至りました。

事件の背景にあるAIイラストを巡る対立

この事件は、近年活発化しているAIによる画像生成技術と、それに伴う著作権や倫理、そしてクリエイターの権利を巡る議論が背景にあります。

  • 「AI絵師」という言葉への反発: 一部のクリエイターやAI技術に懐疑的な人々は、AIが生成した画像を「作品」と呼んだり、AIを「絵師」と呼んだりすることに強い抵抗感を持っています。これは、AIが人間の創造性を模倣するに過ぎず、真の創造性ではないという考えや、人間のクリエイターの仕事が奪われることへの危機感などが根底にあります。
  • 著作権侵害への懸念: AIが既存の画像を学習して新たな画像を生成するプロセスにおいて、学習元となった画像の著作権が侵害されるのではないかという懸念も強く存在します。特に、インターネット上に公開されている多くの画像が無断でAIの学習に利用されている現状に対して、批判の声が上がっています。
  • 表現の自由と倫理: AI技術の進歩は、表現の自由を拡張する可能性を秘めている一方で、悪用されるリスクもはらんでいます。例えば、フェイク画像の生成や、差別的な表現の拡散など、倫理的な問題も指摘されています。

来宮神社の事件は、こうしたAIを巡る様々な対立が、脅迫という形で具体的に表面化したものと言えます。

元検事の指摘と今後の見通し

報道されている元検事の指摘にもある通り、「悪質で罰金刑で済ますような事案ではない」という見方は、この事件の重大性を示しています。脅迫罪は、相手に恐怖心を与える行為であり、特に殺害予告を含む場合は非常に悪質とみなされます。

今回の事件は、単なるAI技術への賛否を超え、インターネット上での誹謗中傷や脅迫行為がいかに現実社会に影響を及ぼし、法的に裁かれるべき行為であるかを示唆しています。今後、この事件がどのように立件され、どのような判決が下されるかによって、AIを巡る議論におけるネット上の言動への監視の目がより厳しくなる可能性も考えられます。

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